借金・負債に関する事件


 「借りたお金は必ず返さなくてはならない。」、「返す当てのないお金を借りてはいけない。」

 

 道徳や社会常識といった観点からしたら、確かにその通りです。

 

 しかし、私たちは、人生で、様々な困難(怪我、病気、失職、離婚などなど)にぶつかり、それらのほとんどは、私たちの収支の見通しを大きく狂わせます。

 

 また、大きな事件・事故がなかったとしても、低収入かつ長時間労働(子育てなどの家事労働も含む)のため、収支の見通しがつかなくなり、少しずつ消費者金融などの高金利の金融を利用していた結果、いつのまにか債務が膨らんでしまっていたという場合もあります。

 

 私たち弁護士が扱う事件の中には、時間の経過により、良い方向に向かう事件もありますが、こと、借金の問題については、当てはまりません。消費者金融や銀行などが、債権を消滅時効にかけてしまうことはほとんどないからです。

 

 ある債権者に対して返済をするために、別の債権者から新たな借り入れを起こすようになったら、月々の収支が継続的に赤字になっているということですから、この時点で弁護士に相談したほうがよろしいと思います。

 

 早めの相談が、良い解決に結び付きます。

 

 借金・負債の問題を解決する方法は、詳しくは以下で説明しますが、大きく分けて二つしかありません。

 

 「返済する」か「返済しない」

 

 当たり前じゃないかという話ですが、相談者の方にはこのようにご説明します。

 

 なぜかというと、相談者の方に、全く解決にならない第三の選択肢「自死」を選んでほしくないからです。

 

 借金や負債がある方が亡くなられると、負債も相続しますから、相続放棄が必要となったりして、相続人の方にご迷惑をおかけすることになります。

 

 毎月毎月の督促や支払いの切迫感に疲れ切っているというのであれば、一度弁護士に依頼していただいて、債権者に通知を出せば、そのような督促をいったん止めて、今後のことについて、弁護士とゆっくり相談することができます。

 

 繰り返しになりますが、借金・負債の問題については、早めの相談が、良い解決に結び付きます。


任意整理


 任意整理とは、裁判所などの法的機関を介さずに(その意味で「任意」という言葉がついています)、弁護士が直接債権者との間で、毎月の支払金額を無理なく返済可能な金額に抑えていくことを目指して交渉し、合意に達した後は、その合意に基づいて支払っていく手続です。


自己破産


 自己破産は、支払期限が来ているにもかかわらず、債務額がおよそ払いきれる額ではないし、今後も支払をすることができないと認められる方について、裁判所を通じて、債務を整理する手続です。裁判所から、「破産開始決定(昔は「破産宣告」といいました)」が出されると、債権者は原則的に個別的な取立を禁じられ、債権者に配当できる資産があるなどの場合には、必要に応じて、裁判所が「破産管財人」と呼ばれる、資産の換価(ただし、一定の制限が有り、全ての資産が奪われるわけではありません。生活に必要な資産は換価することが禁じられています。)や破産手続の監督をする立場の者を選任し、債務の精算を行っていく手続です。

 清算後に支払いきれなかった債務については、個人であれば、「免責許可決定」が得られれば、その債務について、以後、法的責任を問われることはありません。

 なお、ネット上やうわさなどで、たとえば「破産すると戸籍に記載される」などという記載がありますが、ほとんどはデマです。破産法は、経済的に苦境に陥った債務者に罰則を与える法律ではなく、債権者間の公平をはかりながら、債務者の経済的再生を促す法律です。


個人再生


 個人再生は、債務の支払が困難となり、支払ができなくなってしまう恐れがある方について、裁判所を通じて、債務額を減らし、原則3年間に渡って、分割弁済していく手続です。

 個人再生を利用する主な理由としては、住宅ローン付の自宅の住宅ローンを返済しながら、その他のサラ金などに対する債務を減らして分割弁済をしていくという、「住宅資金特別条項」の利用が挙げられますが、同条項の利用については、いくつかの要件がありますので、詳しくは弁護士にご相談下さい。